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週刊少年ジャンプ連載中の尾田栄一郎先生のマンガ、『 ONE PIECE 』の2次小説Blogです。
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しょう‐どう【衝動】
  1. 外から強い力や刺激を受けて心を動かすこと。
  2. 動作または行為を行おうとする抑えにくい内部的な欲求。目的が完遂することによって消滅する。「叫びたい―に駆られる」「―を抑える」





─── ずっと、ずっと考えてたんだ。
オレはこの一味に必要なのかということ。

オレはルフィみたいに超人的な能力があるわけじゃねェ。
ゾロみたいに強くもタフでもねェ。
ナミみたいに航海に必要な人材でもねェ。
サンジみたいに全員の胃袋の管理も出来ねェ。
チョッパーみたいに命を助けることなんて出来ねェ。
ロビンみたいに生き抜く術も持ってねェ。

オレの、この一味における存在意義がわからなくなった頃、大事件が起きた。

メリー号と別れる。

ありえないことだった。
東の海のオレの村から、このウォーター・セブンまでオレたちを運んでくれた、いわばオレたちの『命』。
そんな『命』と離れるなんて、オレには考えられない。

いらなくなったら、捨てるのか?
ここまで運んでくれた、大事な仲間を。

オレは知らない間に、メリーと自分を重ねていた。

オレのことも、いらなくなったら捨てるのか?

今思えば、バカバカしい事だと思う。
でも、その時はそうとしか考えられなかったんだ。

メリー号をめぐって、ルフィと決闘した。
ハナから勝てるはずはなかった。勝てるとは思ってはなかった。
でも、そうせざるを得なかった。

もちろん、メリーがオレにとって大切なものだったからというのが一番の理由。
でも・・・オレは、多分理由をつけて一味を離れたかったんだ。
この一味における存在意義はないと思ってたから。
オレは、この一味には必要ないと思ってたから。
これから先、どんどん強い奴らが相手になってくる。
そいつらと戦う時の足手まといにはなりたくなかった。
だって、オレには何もない。
誇れるものが何もない。

誇り高き海の男になるのがオレの夢だけど、その時のオレはその夢さえもみれてなかった。







だけどオレは、未だ一味に残っている。
一度は離れた。
でも、運命は不思議なもの。
離れたはずなのに、離れられなかった。

ロビンを護送する海列車に、オレもひょんなことから乗せられていた。
そして、ロビンを救う為みんなと戦った。
それでもやっぱり、戦いでは役に立てない。
足手まとい、そう思ったときだった。

助けに来てくれたサンジがオレに言った。


『命がありゃいい。誰にでもできる事とできねェ事がある。
・・・状況は最悪だ。・・・最悪の事態には必ず相応のチャンスが眠ってるもんだ。
こいつの鍵はオレに任せろ。お前にできねェ事はオレがやる。おれにできねェ事をお前がやれ!
よく考えろ。状況を読め!!!

お前がいれば、ロビンちゃんは必ず救えるんだ!ウソップ!!!』



その言葉で視界が開けた。

何も出来ないと思っていたオレにも、できる事がある。
オレにできる事は何だ?
負けないものは何だ?
オレにできる事。
オレは。


オレは、射撃なら誰にも負けない。


オレはみんなが決死の思いで集めた手錠の鍵を、彼方に見えるためらいの橋の上のロビンとフランキーに届けた。
普通の銃では届かない。
オレの射撃の腕と、空島でもらった貝で強化したパチンコ、“カブト”がないと届かない。
オレがいなければ、ロビンは救えなかった。
もちろん、オレだけのおかげではない。
でも、オレもいたからロビンを助けることができた。

それは誇りに思っていいだろ?







メリー号に変わる新しい船、サニー号の甲板で潮風に吹かれながら、オレはそんなことを思っていた。

メリー号。
ホントはオレだってわかっていたんだ。
メリーがもう走れないって事。

でも。
メリーは最後の力を振り絞って、砲撃が降り注ぐ中、オレたちを助けに来てくれた。
メリーも、自分にしか出来ないことをやってのけたんだ。

もう充分だよ。
オレも、もう弱音は吐かない。





心が折れそうになったら、サンジのあの言葉とメリーの勇姿を思い出すよ。
そうすれば、オレにだってできる事があるって思い出せる。

それが、オレを突き動かす衝動になるんだ。




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