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週刊少年ジャンプ連載中の尾田栄一郎先生のマンガ、『 ONE PIECE 』の2次小説Blogです。
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「う~み~は~ひろい~な~ おおき~い~な~♪」

今はウォーター・セブンから次の島の魚人島へ向かう航路。
春島が近いのだろう、ここのところ安定したぽかぽか陽気が続いていた。

昼下がりのこの時間、クルーが各々自由な時間を過ごす中、チョッパーは1人芝生甲板に植わってる木のブランコに乗っていた。
ブランコをゆらゆら揺らす。
人獣型の小さな姿のまま乗ってる為、脚があまり地面に届かず少ししか漕げてはいないが、彼はそんなことは気にしていなかった。

頬を撫でる風が気持ちいい。
思わず鼻歌を歌っていた。

「つぅ~き~がぁ~のぼるぅ~しぃ~ ひがしぃ~ず~むぅ~」

風に、紙巻タバコの独特のにおいが混じる。
チョッパーは振り返った。

「サンジ」
「─── 何つーか、まんまな歌だな」

タバコから薄い煙を立ち上らせながら、サンジがゆっくりとチョッパーに近づいてくる。

「お前、1人か。ルフィたちは?」

そう言ってサンジは木の下に座り込んだ。

「ルフィとウソップとフランキーは釣りしてるよ。ゾロはトレーニング。ナミとロビンはみかん畑に行ってる」
「そうか」

サンジは煙を吐き出した。

「サンジは片付け終わったのか?」

チョッパーがブランコを漕ぎながら言う。

「ああ。おやつの時間まで一休みだな」
「おやつかぁ。オレ、毎日楽しみなんだ。・・・今日は何だ?」
「秘密」
「えー、教えてくれよー」

チョッパーはぷうっと膨れる。
サンジが笑う。

「何でもわかってるってのは面白くねェだろ」
「そうだけどさー」

そう言いながら、チョッパーは脚をぶらつかせる。

「・・・お前、今歌ってた歌、何だ?」

サンジは吸っていたタバコを、持っていた灰皿に押しつぶした。 そしてのんびりと木にもたれかかる。

「ああ、今の歌?『海』っていう歌だよ。昔ドクターに教えてもらったんだ」
「お前が昔、世話になったっていう医者か?」
「そう」
「もう一回歌ってみてくれよ」
「いいよ」

チョッパーは歌い始めた。

「うぅ~みぃ~は~ ひろいぃ~な~ おおきぃ~いぃ~なぁ~  
つぅ~きぃ~が~ のぼるぅ~し~ ひがしぃ~ずぅ~むぅ~・・・」  

─── 歌いながらチョッパーは思い出していた。
Dr.ヒルルクが彼に言ってくれた言葉を。

『お前はいつか海へ出ろよ!お前の悩みなど、いかに小せェことかよくわかる!!!』

─── どれくらい小さいかって、指で作った輪っかをぎゅーってすっごく絞ってたっけ

チョッパーの胸に暖かい気持ちがふくらんでくる。

「うぅ~みぃ~に~ こぶねぇ~を~ うかばぁ~せぇ~てぇ~  
いぃいっ~てぇ~ みたいぃ~な~ よそのぉ~くぅ~にぃ~・・・」

サンジは静かに言った。

「─── 行けたじゃねェか、よその国」
「え?」

チョッパーはブランコを漕ぐのをとめた。

「ドラム王国を飛び出て、今、世界の海を旅してるだろ?」
「・・・・・」
「まあ、オレも同じだけどな。今まで小さな世界でしか生きてこなかったけど、今は海に出て世界を感じてるよ。・・・ま、ルフィのおかげだけどな。それとナミさんの❤」
「ルフィはわかるけど、ナミもなのか?」
「当たりめぇだろ。ナミさんがいなきゃオレはまだバラティエでコックやってたよ」
「・・・・・」
「・・・いや、出てたかな・・・。出てたかもな・・・。そしてナミさんを探しに行く・・・」

サンジがつぶやく。
チョッパーはどこまでも続く海を見つめた。

彼1人の決断だけでは、彼はここにいなかった。
ルフィが誘ってくれたからだ。
ルフィが誘ってくれた、この海。

「・・・海は広ェな・・・」

チョッパーはつぶやく。

まだまだ海にはいろんな冒険が待っている。
どんな場所だろうと、ルフィと、みんなと一緒ならどこだって絶対楽しい。

サンジは笑いながらチョッパーの後ろに回り、背中を押した。

「─── 1人で漕いでたって、つまんねーだろ」

ブランコが高く舞い上がる。

「うわあ・・・」

1人ではない、仲間がいるからこその高さに、チョッパーは歓声を上げた。

─── ねェ、ドクター。オレ、海に出たよ。
─── 仲間もたくさんできたし、いろいろ冒険したよ。それに仲間の為に戦ったんだ。
─── ホントだね。ドラムにいた時に悩んでたことなんて小さいことだった。
─── もう、悩まないよ。オレ、今、楽しいんだ。

「うぅ~みぃ~は~ ひろいぃ~な~ おおきぃ~いぃ~なぁ~  
つぅ~きぃ~が~ のぼるぅ~し~ ひがしぃ~ずぅ~むぅ~・・・」

チョッパーは歌う。
目の前に広がる海は、どこまでも穏やかであった。






◇コチラから管理人のコメント


とりあえず謝りましょう。

『OCEAN』っていうたいそうなタイトルつけて、始まりが『う~み~は~』ではじめちゃってスミマセン!!!

この話が浮かんだのは、そのまんま、B'zの“OCEAN”を聞いてる時だったんです。
いや、全然違いますけどね。
でも浮かんだのがこれだった。チョッパーが歌ってるシーンも含めて。
で、出来上がったお話がこれです。

チョッパーの話し相手はゾロも考えたんですけど、やっぱりしっくりくるのはサンジの方かと。
優しいもんね、サンジきゅん。

自画自賛しちゃいますが、私、このお話大好きです。
書いてて泣きそうに・・・(爆)。

ええ、ええ、バカ親です。

気に入ってもらえると嬉しいなー。

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