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週刊少年ジャンプ連載中の尾田栄一郎先生のマンガ、『 ONE PIECE 』の2次小説Blogです。
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こんなのは初めてだ。

正直に言うと、オレは今まで女のコに不自由したことってなかった。
自慢じゃないけど、見た目も、物腰も話術も人よりは秀でてると思う。
おかげで、もちろん100発100中とはいかねェけど、必要な時には女のコはそばにいた。
その時々で同じ女のコの時もあれば、違うコの時もある。
長期間の愛なんて必要ない。
その時その時が楽しければそれで良かった。
もちろん、逢ってる時はそのコのことをお姫様にしてあげる。
期間限定でも心から大事にする。

それは当然のことだろ?
おざなりに扱うなんて、そんな失礼なこと出来ねェよ。

それにそのコもオレと逢ってる時はホントに楽しそうにしてくれてる。
オレはそれで良かったんだ。

今までは。







彼女だ。
これはみんな彼女のせいなんだ。

肩までの艶やかなオレンジの髪、気が強そうだがまっすぐな瞳、バランスのいい抜群のスタイル、そしてまぶしい笑顔・・・。

彼女を海上レストランバラティエで一目見た瞬間、今までの価値観が音を立てて崩れた。
オレはその時、オレ好みのきれいな女のコを口説いてた最中だったってのに、彼女から目を離せなかった。
同じテーブルに座った男2人と楽しそうに話をしている。
そこに麦わらの雑用が親しげに話しかける。

あいつの、仲間だったのか・・・。

そう気づいた瞬間、オレの足は自然とそのテーブルに向かって行った。


『ああ海よ、今日という日の出逢いをありがとう。
ああ恋よ❤この苦しみに耐え切れぬ僕を笑うがいい。
僕は君となら海賊にでも悪魔にでも成り下がれる覚悟が今できた❤
しかし、なんという悲劇か!僕らにはあまりに大きな障害が・・・!!!』



ステップも軽やかに、ミュージカル調に彼女に語りかける。
きれいな女のコを見れば、思わずこんな感じで語りかけてしまうオレの癖。
たいていはびっくりされるけど、その後はオレに興味をもってくれる女のコが多い。
まあ、興味を持ってくれなければ、オレもそれ以降はそのコに構うことはないんだけど・・・。

─── で、彼女の場合は。
普通、だった。
驚くわけでも、ひくわけでもない。
ただ、無反応。

こんなのは初めてだ。
どうにかしたかった。
どうにかして、オレに興味を持ってもらいたかった。

そんなことを考えたのも初めてだった。

だけど、その後すぐオレもオーナーのクソジジイとやり合っちまったから、その時はそれで終わっちまった。

でも、ここでフォローしとかなきゃ男じゃねェだろ?
お詫びと称して彼女に大サービス。
ようやく彼女は反応してくれる。
オレにかけてくれる言葉・・・、もちろんさらなるサービスを期待してのことだってわかってるけど、そんなことはどうでもいい。
同じテーブルの他の男共が騒いだって知るかよ。
オレは彼女だけにサービスしてぇんだ。

彼女と出逢ったこの奇跡を、無駄にしたくねェんだ。







その後、いろいろあってオレは麦わらの船長の船に乗り込むことになった。
オレの夢、オールブルーを見つけるという夢の為に。
この船長の人間としての魅力もそうだが、それと同じくらい彼女のそばにいられるという事もオレにとっては仲間になるという決断をした要因だ。
それらがなければ、オレはバラティエを離れていなかった。

仲間達と過ごすうち、初対面ではわからなかった彼女の人となりが少しづつわかってきた。

彼女は、気高く強い。

そりゃ、びっくりするくらい金や宝への執着はすごいが・・・。

でも、そんじょそこらではへこたれない。
弱音だって吐かない。
オレ達の航海は自分にかかっているんだという誇りと自信が、彼女を突き動かしている。

オレは、惚れた。
惚れないわけないだろ?
きっと、初めて逢った時から惚れていたんだろうけど、本格的に、もう、自信を持って惚れていると断言できる。







だから、オレは彼女に『好きだ』と伝える。
伝え続ける。
ヤバイな、オレ。
もう自分の中に留めておいたらパンクする。
それくらいに、彼女に惚れちまってるんだ。



だから、オレにとって大事な彼女の呼び方もそこらとは同じようには呼べない。
呼び捨てなんてもっての他。
オレは通常、女のコのことは愛を込めて『ちゃん付け』して呼ぶんだけど、彼女のことはそうは呼べなかった。
最大級の愛を込めて、『さん付け』をする。

『さん付け』なんて初めてだよ。

だけど、初めてそう呼んだ時、自分でもびっくりするくらいスムーズに呼べた。
それがオレにとって当たり前かのように。
彼女のことをそう呼ぶ度に、彼女はオレにとって特別なんだと実感するんだ。

だから、何度も呼ぶ。
何度だって呼ぶ。







オレが愛情を注ぐ当の彼女は、そんなオレには目もくれない。
でも、邪険に扱われてもオレは気にしない。
彼女のそばにいられることが嬉しいから。
わかってるよ、オレの過剰な愛情が彼女にとって必ずしも嬉しいことじゃないこと。

でも・・・。

最近その彼女の態度が少し変わったような気がするのは気のせいだろうか。
気のせいでもなんでもいいよ、オレはそう感じるんだから、なんて思ってしまうオレは、相当やられてるみてぇだな。
だって、彼女がオレを『くん付け』で呼ぶ声が優しくなったような気がするんだ。

そう、彼女はオレのことを『くん付け』で呼んでくれる。

他の奴らは呼び捨てだぜ?
特別にオレのことだけをそう呼んでくれるんだぜ?
これを喜ばずして、どうだってんだ。
そういうところにオレは彼女の愛を感じるんだ。

イタイよ。わかってるよ、そんなこと。





でもさ。
ぶっちゃけ、もっとわかりやすく愛を感じたい時もある。
もう少し、愛をくれてもいいんじゃないかって思う事もある。
でも、しょうがねェ。オレが惚れた彼女はそういう彼女なんだ。



でも、もうちょっと。
もうちょっとだけ・・・。






◇コチラから管理人のコメント

ナミのお話を読んでもらってから、コチラを読んでもらうと違いがわかって良いのではないでしょーか。
意地っ張りナミさんと自分の気持ちに素直すぎるサンジくん。
同じ呼び方についても、お互いちょっと思ってることがズレてるんですねー。

お互いの気持ちを確認しあったときがすごく楽しみ☆

あー、やっぱり私はサンナミすとw

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